
パブリックスピーキングの歴史には二つの顔があります。一つは、学問としてのパブリックスピーキングで、正統な流れは古代ローマのレトリックから始まり、現代にいたるまでさまざまに形を変え研究されてきました。
もう一つは英雄史、名演説史としての顔です。旧時代と新時代の潮流と潮流の狭間に起こる渦の中で、名演説は行われてきました。
そもそも、名演説と呼ばれる演説を行うためには、単にうまい演説をするだけではだめで、時代を変革させるムーブメントの中に身を置き、その象徴、リーダーとして演説を行わなければなりません。ですから、名演説をたどれば英雄史と重なるのです。
ここで紹介するのは二つ目の顔です。これからパブリックスピーキングを勉強しようとしているみなさんに、ぜひ読んでおいていただきたいそんな歴史に残る名演説家、10人の言葉です。
※画像はすべてWikipediaより引用。森田一義氏の写真は、『タモリのTOKYO坂道美学入門の表紙』、講談社、2004より。この弁論というものは、人々の考えているよりもはるかに広大な何かなのであり、人々の考えているよりもはるかに多くの学術や学問から成り立つ何かなのである。 キケロー(紀元前106-46) 大西英文の妙訳で、今読んでも十分おもしろく参考になります。古代ローマから代表して紹介しました。 |
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貧しきものが飢えに泣くのを見て、シーザーもまた涙した。野心はもっと冷酷なものでできているはずだ。が、ブルータスは言う、シーザーは野心を抱いていたと。 ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616) 英文学史上、最高の劇作家。彼以上に軽やかな作家を私は知りません。 (原 文) http://communis.sblo.jp/article/28184911.html | ![]() |
人民の、人民による、人民のための政治を、この地上から滅ぼしてはならない。 エイブラハム・リンカーン(1809-1865) アメリカが連合国と合衆国に別れて戦争をしている最中に、ゲティスバーグの丘で読み上げたこの演説は、パブリックスピーキングの教科書に必ずと良いほど登場する名演説中の名演説です。 | ![]() |
この世界における最も偉大な変革は、決してガチョウの羽ペンでは導かれなかった。宗教的・政治的たぐいの偉大な歴史的雪崩をひきおこした力は、大昔から語られる言葉の魔力であった。 アドルフ・ヒトラー(1889-1945) パブリックスピーキングの重要性を誰よりも理解していた政治家。聴衆を愚劣と断じ、いかに彼らに言葉を浸透させるかを徹底して研究しました。ほとんど知られていませんが、パウル・デフリーントというコーチをつけるほどの徹底ぶりでした。 (映像、意志の勝利より) http://www.youtube.com/watch?v=duRJE_7IB14 |
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I have a dream. 私には夢がある。 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929-1968) リンカーンの奴隷解放が真の意味で果たされていないと、1963年8月28日の20万人を動員した「ワシントン大行進」でスピーチを行いました。公民権運動のリーダーとして、黒人差別撤廃に多大な貢献をしました。 (原文) http://www.americanrhetoric.com/speeches/mlkihaveadream.htm(映像) http://www.youtube.com/watch?v=PbUtL_0vAJk | ![]() |
アメリカの市民諸君。アメリカがあなたに何をするかではなく、あなたが国のために何をするかだ。 ジョン・F・ケネディー(1917-1963) 第35代アメリカ合衆国大統領。キング牧師釈放にも関与し、キューバ危機を回避、ベトナム戦争の早期撤退を企図した民主党出身の大統領。この演説の他にも、We choose to go to the moon. という演説も有名です。 (映像) http://www.youtube.com/watch?v=6KJshrKmwG4 (4分から有名なシーン)(原文) http://www.famousquotes.me.uk/speeches/John_F_Kennedy/5.htm | ![]() |
Stay hungry, stay foolish. 空腹で在れ、バカで在れ スティーブ・ジョブズ(1955-) アップルのCEO。現代のビジネスリーダーの中で、もっとも言語感覚に優れた人物の一人です。2005年のスタンフォード大学の卒業式で行われたこの演説は、ジョブズのファンのみならず、広くネットで広まりました。 (原文) http://news-service.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html | ![]() |
あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。 森田 一義(1945-) タモリさん。「日本人でスピーチのうまい人は誰ですか?」と聞かれてたら。いつも彼を挙げています。赤塚不二夫さんの弔辞で白紙の奉書紙を読み上げたことで話題になったのですが、内容も表現も非常にすばらしいです。 (全文) http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008080701000680.html(映像) http://www.youtube.com/watch?v=EEbcF__-jSo |
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その真実とは、たくさんの人たちがいるけれど、私たちは一つなのだと。 バラク・オバマ(1961-) 第44代アメリカ合衆国大統領。リンカーン、キング、ケネディーという歴史の文脈なしに彼の成功はありえなかったでしょう。まさに、アメリカを体現しているリーダーです。 (勝利演説の映像) http://www.youtube.com/watch?v=XXD_gvCskdE(訳) http://communis.sblo.jp/article/27871249.html | ![]() |
「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」 村上 春樹(1949-) 作家。パレスチナがガザ侵攻を行い、国際的にパレスチナへの非難が高まる中行われたエルサレム賞の受賞式でのスピーチです。文芸春秋2009年4月号で、非常に多くの葛藤を抱えたままスピーチを行ったことを吐露しています。 (日本語原文) http://www.47news.jp/47topics/e/93925.php(英語の原文) http://www.haaretz.com/hasen/spages/1064909.html (演説の様子、ニュースZERO) http://www.youtube.com/watch?v=mTkENf4ALHY |
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